エンジンベアリングの話 (伝説のメタルとその後のメタルメーカー)
今では伝説的なバンダ―ベルvandervellベアリングは世界にもコレクターが多いそうです。とりわけAシリーズエンジン用では・・・やはり当時のVANDERVELL製(COPPER LEAD BACK -VPⅡ)に迫れるメタルはまだないというのが実情だからです。
それではvandervell無きいま・・・今後どんなエンジンベアリングを使っていったらいいのでしょう?
現在でもA型ミニ用のメタルを作っているメーカーのエンジンベアリングの実力を検証します。
【 ACL 】
最有力といえるのは豪州ACLです。バンダーに近い製法の「COPPER LEAD BACK」系のなかで良いものを作ってます。
さすがにvandervellのVPⅡと同じレベルまではなくとも、現在でも製造されているメタルの中では「メインベアリング」「コンロッドベアリング」「カムメタル」に関しては他のMAHLEやGLYCO、KINGなどを引き離しています。
しかしクランクスラストに関してはACL製は車種に応じて使い分ける必要があります。
最近よく使われるACL製の「1.3A+用」の親メタ、子メタ、ともに在庫していますのでお問い合わせください。
ACL・メインベアリング(親メタル)SET 1.3A+用 STD
ACL・コンロッドベアリング(子メタル)SET 1.3 A+ STD
長期欠品でした998ccA+用も入荷しました。
ACL・メインベアリング(親メタル)SET 998cc A+用 STD
ACL・コンロッドベアリング(子メタル)SET 998cc STD (& COOPER S)
【 MAHLE 】
あとvandervellブランドを吸収したMAHLE社に関しては、個人的な意見ですが・・・やはり・・・ブランド名/技術情報/SPEC/設計書だけでは引き継げなかった大きな壁があるように感じます。それは1960年代当時のvandervellの工場が当時のF1VANWALLコンストラクターとしての技術を体系的に引き継いでいて・・・バンダー工場そのものの持つ歴史的な技術だったのではないかと感じます。
MAHLE社はいまでも 「バンダーベル・レーシング」 というコンペ・シリーズを作っていますが・・・どちらかと
いうと、精度や材質のアップデートを中心にMAHLEの持つノウハウで作られているように思いますので・・・昔のバンダーベルとは実際に違う現代のレーシングエンジン用のものになっています。
使用感には多少の差はあるでしょうが・・・日本でも専門ファクトリーのウェブ、facebookなどではよく「メタルは赤箱よりだんぜん青箱」とよく書かれていることからもその信頼度の違いを多くのファクトリーメカニックが感じているのがわかります。特にサーキットも走る車であれば大事な条件でもあります。
【 GLYCO 】
このメーカーはAE-GLACIERからメタル系のOEMを引き継がれて現在のFEDERAL MOGUL(旧AEグループ)としての生産ラインがあります。
vandervellよりは後発といいながらもヨーロッパ大手のメーカーです。規格内の精度に関しては問題がなく実際には多くのヨーロッパ車のOEメーカーとしても有名です。
特にバビット合金系のメタルに関しては優れた技術があり一部にはミニにも有用なパーツも作っています。
しかしメインベアリングとコンロッドベアリング・カムメタルに限ってはそのバビット系の高い技術があだとなり・・・A型エンジンの特にメインベアリングに使用するには仕様的に残念かなと思います。
これだけ大きなメーカーですので既に生産中止のクラシックミニ用として自社のベアリングとのマッチングマテリアルの変更などをしてくれる可能性はとても少ないかもしれません(>_<)
【 KING BEARING 】
1990年代に問題になったころほどのバラつきは無くなってきてホワイトメタルながらも使えるものも出てきているようです。ただし種類によっては選定が必要です。
【 AE - GLACIER 】
GLACIERはピストンのHEPOLITEが解体されたのとほぼ同時期に業務譲渡をすべて行って閉業となりました。
1970年代から1980年代にかけてはどうしてもバンダーベルと比較されることが多く、レースユースでは揶揄されることがありました。
しかし、今となっては現行のGLYCOよりもレイランド、オースチン。ローバー系に関して言えばホワイトメタルの中では最も優秀です。
その技術はバンダーベルがVPII以前に完成させたアロイバックベアリングの " THIN WALL " の特許技術を使っているからと言われています。
当時、英国政府からの戦争時の国政特需の認可としてVANDERVELL特許を無許可で使うことを許され・・・完成したGLACIER製メタルが・・・・戦後もそのまま使い続けたと言われています。
そのためにGLACIERのメタルはBMCがレイランド・ローバーになってからもバンダーに次ぐ採用率で純正となっているものがあります。
1980年後半にはバンダーベルとGLACIERが同一の企業に吸収されたこともあって、バンダーベルからの設計指示で特注された1.3A+の一部には優秀なコンロッドベアリングやカムメタルなど他にもいくつか銘品が存在します。
最後に
【 VANDERVELL BEARING 】 当時のバンダーベル
VANDERVELLだけしか成しえなかった究極のエンジンベアリングの真骨頂は・・・単に材質や製法だけのノウハウでは作れないモノだったようです
バンダーベルの工場の中で永く伝統的な製法を引き継いだ職人たちが勘と自分達で培ってきた精度の高い材料仕入れから技術なども、すべてがその混ぜ物の集合体に
加味されていたようです。
先に述べたように当時・・・VANWALL RACINGとして多くの勝利をおさめコンストラクターチャンピオンを勝ち取り・・
またフェラーリをはじめとしたトップチームへのエンジンベアリングサプライヤー席巻し・・・F1のトップチームのほとんどで数多くの冠を勝ち取りました。
・・・・・そのダントツの信頼性で世界の多くの自動車に関与してきた時代を経て・・1967年に創始者のトニーバンダーベル氏が亡くなってからも・・・そのエンジンベアリングの技術は脈々と引き継がれました。
しかし1980年代に入ると経営は厳しくDANAコーポレーションの傘下となります。やはり経営的にも・・もしGLACIER社との確執的な影響はあったと思いますが・・・それも一つの歴史と思えます。
ついでに
【 自分とVANDERVELL BEARING 】
いま自分の持っているビンテージ・レアパーツ含め、その中で一番大事なものは?と聞かれれば
vandervellのメタル と答えます(^^;
だいぶ前ですが・・・
LONG BRIDGE 近郊で見つけた、当時のバンダーベルベアリングが一式とROVERロングブリッジファクトリー社外秘の作業指示書がなぜか当社にあります(^^;
仕上がったクランクシャフトのジャーナル公差に対して1/100ミリ+単位でレッド・グリーン・イエローの精密なバンダーベルベアリングの組み方の当時の指示書です。
これを初めてみたときには震えました(>_<)
カラーコードレッド↑
このレッドの下の下にイエローも埋まってます。
にしても他のメーカーだと最初からそれ以上の公差バラつきがあるのでこういったマイクロオーバー/アンダーサイズを作れたのはバンダーベルならでは・・・
当時は・・・しばらくは溜息をついてながめながらも笑
留飲が下がる思いだったのもよく覚えています・・・しみじみと・・・
(今日はコレくらいで(^^; )
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最近はChatGPT(LLM)や生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタイン物理学のような理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、トレードオフ関係の全体最適化に関わる様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術とは違った日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
投稿: ナノサイエンス関係(CCSCモデル) | 2025年8月 9日 (土曜日) 11時12分